建物明け渡し 即決和解と公正証書
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即決和解手続き(訴え提起前和解)と公正証書
即決和解(訴え提起前の和解)とは
民事上の紛争について当事者間で合意できる見通しがついた場合、
簡易裁判所に対して和解の申し立てを行い、裁判所に双方が出廷
し合意内容を和解調書に記載する内容の和解手続をすることをい
います。民訴法275条
申し立てる管轄の裁判所
相手方の所在地を管轄する簡易裁判所(民事訴訟法275条)
又は相手方と合意した管轄の簡易裁判所
(民事訴訟法第11条
当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所
を定めることができる。)
手続きの流れ
和解をする相手方の所在地の管轄の簡易裁判所に申し立て、裁判所
は期日を指定して、当事者を呼び出し、双方が出頭したところで和解調
書を作成します。
この和解調書は債務名義となります。
債務名義とは
強制執行によって実現されることが予定される請求権の
存在,範囲,債権者,債務者を表示した文書のことで、強制執行申立て
る際に強制執行ができることの根拠を表したものです。
効果
1簡易迅速に低廉費用で債務名義※である和解調書を取得することが
出来る。
訴訟手続きにより債務名義(判決等)を取得しようとすると時間と費用
がかかることになるが、即決和解であれば裁判所に1回出頭するだけ
でよい
2強制執行認諾条項付の公正証書や仮執行宣言付支払督促も『通常
訴訟手続き」を経ずに迅速に強制執行の申立ができるが、公正証書
や支払督促は一定の金銭、代替物、有価証券の給付を目的とする権
利に限定される。
即決和解の場合は、金銭等の給付以外の強制執行の債務名義として
も認められる、(建物明渡の強制執行の申立可)
3、和解条項に金銭支払い(滞納家賃(未納賃料の)支払義務を記載す
れば、)建物明渡の強制執行のほかに金銭支払いの強制執行の申立
も可能です。
建物明渡を約束させる場合効果のところでも説明したように公正証書
は一定の金銭の給付等については(訴訟手続きを経ずに)強制執行
手続きの申立ができますが、建物を明け渡す行為をさせる強制執行
の申立は公正証書ではできません。
訴訟手続きにおける判決と同様の債務名義である和解調書であれば
建物明渡の強制執行申立が可能です。
和解調書は即決和解手続で作成されます。
和解が整わない場合
和解の合意が整わず、期日に双方が申し立てた場合には訴訟に移行する
ことになります。(民事訴訟法275条2項)
即決和解の申立てが出来ない場合
訴訟手続きよりも迅速簡易に取得ができますが、相手方との合意がない
と手続きできませんので、相手方が協力してくれない場合や行方不明の
場合には手続きできません。
そして、即決和解(訴え提起前和解)は民事上の争いが無い場合には申立
てることは
はできません。
紛争が無く、単に相手方との将来の約束を和解調書にしたいと言う理由だ
けでは、申立ての前提要件を欠いていることになります。
参考 公正証書とは
公正証書とは公証人が権利義務に関する事実について作成した書面で
あり、金銭そのた代替物、有価証券等の給付の権利に関する証明書で
、債務者が「債務を履行しない場合は、直ちに強制執行を受けても異議
がない」旨の強制行認諾条項がある場合は債務名義となり、公証人に
執行文の付与を受けると債務名義となり強制執行可能となる。
公正証書作成の手続きの流れ
公証人役場に本人と相手方(それぞれ代理人でも可能)が赴き公証人に
陳述して公正証書を作成してもらいます。
当事者双方の実印と作成後6ヶ月以内の印鑑証明書が必要です。
法人の場合には資格証明書も必要メリット簡易迅速、低廉費用で判決と
同様の効果である債務名義が取得できます。
メリット
管轄も無く利便性が高い
デメリット
債務名義としては、金銭その他の代替物、有価証券等の給付に関する
権利に限定されます。
支払督促手続きと同様、公証人が書面と当事者からの聴取で権利関係
を審査するためです。
そして即決和解手続と同様、相手方の協力が必要です。
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