建物明け渡しQ&A5 引渡しと明渡しの相違
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建物明渡の疑問点・不明点についてわかりやすく解説します
引渡しと明渡の違い
Q5 引き渡しと明渡の違い
「 引渡し」と「明け渡し」とはどう違うのですか?
A5
「引渡し」とは現状の状態でそのまま、引き渡すこと及び
ほぼ原状に復帰したうえで引き渡す行為です。
(正確に言うと、「『現状の状態での引渡』を含む引渡し行
為」ということになります。
後述する「明け渡し」も「引渡し」に含まれます。)
例:「建物を引き渡す」行為
@借家人が借家を個人の所有物を全て排出したうえで、引き
渡す(後述の明け渡しに該当する)
A借家人が個人の所有物を残置したまま、引き渡す
上記の@Aの行為が該当します。
法律的に言うと「占有の移転」となります。
(占有の移転は現状の状態で移転するか原状復帰した上で移転
するかを区別しているわけではない)
占有
とは自己のためにする意思で物を所持する行為をいいます。
占有権
は、事実上の支配状態が保護される権利です。
正当な権利かそうでないかにかかわらず保護されます。
「明け渡し」とは建物内に家具や生活用品等の借家人の所有物
がある場合は、それらを全て撤去して{つまり、借りた時点の状態
にするということです。(原状復帰とは厳密に言うと異なりますが、
占有者の所有物等を撤去して建物を借りた当時の状態に復する
という点では同じといえます)
設備やもともと備え付けの
物はそのままでということになります。}
引き渡すことをいいます。
<参考>〜司法書士の経験から〜
司法書士は、過去不動産会社で、不動産競売手続きに入札して
競売物件を取得する業務を行っていました。
不動産物件を落札したところ、占有者(もともと住んでいた人や、
何らかの理由で対象不動産にいる人)が存在することがあります。
(不動産の)引渡し日以降に対象の不動産に占有(住んでいる)し
ていることは、根拠無く占有していることになり、違法な状態となります。
「出て行ってください」といっても出て行ってくれない場合は、強制執行
の手続きをしなければなりません。
強制執行の手続きをするには、まず、訴訟を提起し、判決を取得し、
その後、長い時間と面倒な手続きが必要となります。
(詳しくは「
訴訟手続き」「強制執行 」をご覧ください)
しかし、競売手続きの場合は、上記の手続きを経ずに裁判所に申
し立てればすぐ「引渡し命令」が出されます。
この引渡し命令により、強制執行が可能になります。
「引渡し命令」に基づく強制執行だと残置物があった場合、残置物
の撤去はできないの?」
いえいえそんなことはありません。
「引渡し命令」に基づいて「建物明渡の強制執行」の申立てをするこ
とになりますから、 建物明け渡しと同じで、残置物の撤去もさせるこ
とはできます。
建物明け渡し・家賃滞納についての具体事例
建物明渡の流れを説明するために司法書士の経験を交えながら、
わかりやすく解説しながらストーリー構成にしています。
下記の事例をクリックしてください。
1、Aさんの建物明け渡し請求
(借家人と異なる人がいつの間にか住んでいた場合)
2、Bさんの建物明け渡し請求
(借家人が行方不明になってしまった場合)
3、Aさんの滞納賃料請求
(借家人と支払いの約束をする場合)
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